家族を看取る Vol.2
「このしこりが癌だとしても、治せるから大丈夫。」
主人の言葉を信じたい、でも、どうしても心の底から沸き立つ不安がぬぐえなかった。
私が何を言おうと、どういう言い方をしようが、目の前の主人は岩のように動かないのが見て取れた。
私の言葉は、今の彼の心には響かない。 全て弾き飛ばされている。
首に縄をつけて病院へ引きずりだせばいいのか。 そんなことしたって動く人ではない。
主人が日頃から言っていたこと。
“思ったことは現実になってしまう”
だから、望んでないことは考えてはいけない。
でも、どうしてもぬぐうことのできない一抹の不安。
“もし主人が死んでしまったら、私は1人でどうやって生きていけばいいのか。”
“仕事はどうなるの?”
“主人のもとに集まってきてくれている皆のことは?”
そんな恐ろしい状況を想像したくなかった。 考えたくもない。
私は、自分の心片隅に潜む不安を封じ込め、自分の意思を遮断するしかなかった。
“大丈夫、彼は死なない。 彼によって救われる人はたくさんいる。 人類にとって必要な人なんだから、神様は連れて行ったりしない。”
その日以来、私はいつもそういって自分に言い聞かせるようになっていった。
「人類にとって必要な人」
主人の言葉を信じたい、でも、どうしても心の底から沸き立つ不安がぬぐえなかった。
私が何を言おうと、どういう言い方をしようが、目の前の主人は岩のように動かないのが見て取れた。
私の言葉は、今の彼の心には響かない。 全て弾き飛ばされている。
首に縄をつけて病院へ引きずりだせばいいのか。 そんなことしたって動く人ではない。
主人が日頃から言っていたこと。
“思ったことは現実になってしまう”
だから、望んでないことは考えてはいけない。
でも、どうしてもぬぐうことのできない一抹の不安。
“もし主人が死んでしまったら、私は1人でどうやって生きていけばいいのか。”
“仕事はどうなるの?”
“主人のもとに集まってきてくれている皆のことは?”
そんな恐ろしい状況を想像したくなかった。 考えたくもない。
私は、自分の心片隅に潜む不安を封じ込め、自分の意思を遮断するしかなかった。
“大丈夫、彼は死なない。 彼によって救われる人はたくさんいる。 人類にとって必要な人なんだから、神様は連れて行ったりしない。”
その日以来、私はいつもそういって自分に言い聞かせるようになっていった。
「人類にとって必要な人」
by idun-2006
| 2008-04-05 09:24
| 闘病生活