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心と身体のよりどころ

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病をみる  ~ うつ病編 ~

テレビ番組で萩原流行さんのエピソードが紹介されてました。
彼の奥様がうつ病を発症されてしまい、数年後にはご自身も躁うつ病と診断されたとか。
以後ご夫婦でうつ病と向き合って、助け合いながら生活しているそうです。
病を通じて夫婦の絆が深まったというお話。

奥様がうつ症状がひどくなると、返事をしなくなり、家事いっさいができなくなるのだそうです。文字をたどることもできず、本や新聞も読めない。集中力がなくなるとおっしゃってました。

私にも思い当たる節があります。
数年前、不眠症になり、うつ病の診断まで受けた私の症状も、ほとんど同じでした。
そんな私の様子が理解できない主人は、返事をしない私に怒り、何事にも積極的になれない私をなじりました。
でも家の場合は萩原さんと違うと思うところもあります。

家族の中にうつ病患者がいるって、いろいろな面で大変だと思うんです。
まず、家の中の空気が澱んでしまうんですね。 
どうしても暗―い雰囲気になってしまいます。
我が家の場合、トラブル多発状態だったので、どうしたっていい空気が流れにくい状況でした。
それだけに、つとめて明るく振舞おうと互いに気を使っていましたが、時にはどうにもコントロールがつかなくなるときがあるんです。
そんなときは、そっとしていてほしかったのに、見逃してくれない主人でした。
私自身が病を発症した立場だったので、きつい自分の状態をどうにかするので手一杯で、主人の心情を思いやる余裕なんてなかったです。
むしろ「私がこんなふうになってしまったのは、貴方のせい」くらいに思っていた部分がありました。
そんなことを思いながらも、こんな私を目にするのはイヤだろう、辛いだろうなぁ、ということは感じてました。
事実、主人も 「壊れていく私を見るのが一番辛かった」 と後で言ってました。

萩原さんは、奥様が辛い状態になったときには、無理強いをせずにそっとしておくと言っていました。 ここが一番私達と違っていたところです。

ある意味では、主人は私に対して無理強いをしませんでしたが、いくらうつ症状でも返事をしなければ怒鳴るんです。
無表情でボーっとしていると、買い物かお散歩に連れ出されます。
よくない状況のまま放置しておいてくれませんでした。
でも、今から考えれば、主人が無理にでも散歩に引きずり出してくれたおかげで、短期間で完治することができたのだと、ものすごく感謝してます。
外へ気持ちを向けたほうがいいのは、本人も分かっているんです。
でも、一人で踏み出せないほど精神が弱ってしまっているからうつ症状になるんですね。
そんな状態の時に、身近に理解者が居てくれて、連れ出してもらえる状況が必要なんです。
散歩を強要するのではなく、楽しいと思わせてくれること。
そういった状況を作ってくれることが、薬よりもどんな言葉よりも、症状を快方へ向かわせてくれる、とってもありがたいことなんです。
家族の理解と強力がなければ、心身症は治りません。
薬やカウンセラーを頼っても、なかなか改善は得られないと思うんです。

でも、その身近な理解者は、発症者を甘えさせてはいけないんです。
人として、間違っていることは許さないという、断固とした姿勢を示してくれることで、病を理由に甘えない志をもたらせてくれます。 
その場はきついです。
本当にだるいし、きつい、口が重くて返事ができない。 
自分でも焦れてるのに、怒鳴られ、叱られ、時には手が飛んでくると、何で分かってくれないのか、悲しくなります。
でも、私がすねれば、主人は余計に怒る。
私が怒れば、収集がつかなくなる。
彼は、私を心配してくれている。 
彼が怒る気持ちもよく分かる。
この思いがあったから、そして主人の言動から、本気で私を心配して言ってくれていることが理解できたから、きつくあたられても、なんとか帳尻を合わせることができたんですね。

それから、毎度言うことですが、3日間目覚めなかった事が2度ほど経験したことで、心底「このままではダメだ。
薬に頼っていては改善できない。 
お医者様の言うことに従うだけでは、この状況から抜け出す糸口が見えない。
そう確信し、自ら進んで散歩や体操、呼吸法を行えるようになったもの、完治への拍車をかけてくれました。

萩原さんご夫妻の主治医の先生は、「貴方達のうつ病は治りません。」と断言なさっているそうです。
その真意は、萩原さんのお仕事に問題があるからだそうです。
萩原さんがお仕事をやめて、ご夫妻でのんびりと過ごせる状況にならない限り、ご夫妻の病状は改善できないとおっしゃってるそうです。
お医者様の意見はごもっともですね。 でも、生活環境、特に仕事を変えるって、そう簡単にできることではありません。
仕事をやめなきゃ病は治らないと言われると、絶望の淵に落とし込まれてしまうんです。
立ち直るのに時間がかかってしまう。
私はそんな風に断言される事が、一番嫌いです。

病は闘ってはいけない。 病は受け入れなければなりません。でも認めてはいけない。
ちょっと矛盾しているように聞こえるかもしれないけれど。
病の根源はストレスです。 病と闘ってしまうと、益々身体はストレス状態になってしまいます。
子宮内膜症がいやだと思っても、西洋医学の世界では不治の病と言われている病気です。
自分ではどうすることもできません。 受け入れるしかない。
でも、「認めて」しまっては、全て病のせいにしてしまい、病を言い訳にしてしまいます。
身体を少しでもいい状態にバランスを保とうとする努力をしなくなってしまいます。
病を受け入れ、なおかつ身体にとっていい事を続けていく努力をわすれてはなりません。

萩原さんご夫婦が、お二人仲良く公園を散歩されているシーンで、締めくくられていたのをみて、安心しました。
たとえ過酷なお仕事でも、あの時間を持ち続けている限り、ご夫妻は乗り越えていかれると思います。

主人を懐かしく思い出します。 私達も折に触れ、散歩をしました。
梅が咲けば、梅の木を求めて近所を一回りしてました。
桜が咲けば、桜並木を求めて、また近所を一回り。
私が最も苦しんでいたときには、もう少し足を伸ばして、広い公園へ連れて行ってくれました。

先日、久しぶりに主人の夢をみました。
主人が目の前に居るんです。 居なくなったと思っていたのは私の勘違いで、癌を克服できてたんだ。なんだ居るんじゃない。心配する必要はなかったんだ。良かった。 と思ったところで目が覚めました。目覚めてしばらくして、現実を認識してがっかり。
そして、まだ私はこんな夢を見て一喜一憂してしまうんだなって、再認識。
まだまだ立ち直れていないようです。

でも、主人の死はちゃんと受け入れています。
悲しみにくれて、もがいたりしていません。
ただ、主人を看送ったストレスと、一人になってしまったストレスから、思うように動き出せずにいるんですね、きっと。

ストレスによって受けた傷は、時間が解決してくれます。
自分の心持が何処へ向かっているかが大切です。
ちゃんと明るい光に向かっていれば、必ず笑顔で過ごせる日がやってきてくれます。
それまでめげずに、今を精一杯過ごす!  自分を信じて頑張る。
ストレス状態にある者にとっては、簡単そうなことだけど、実はとっても難しいんです。
あえてこういうことを具現して、拍車をかけなければならない。
それでも、前を見るしかない。 頑張ります。
by idun-2006 | 2008-01-26 15:13 | 身体

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