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心と身体のよりどころ

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心に花園を ~告白~

主人の発病の話は、何度も投稿している気がします。
ここから先の話がどうまとめるか悩むところで、先に進めないのです。
っが、繰り返しになりますが、話の流れとして告白のシーンを再度投稿します。


「俺、癌かもしれない」

食事の後はソファに寄りかかり、テレビを見ながら腹部マッサージを施すのが習慣になっていた主人。
いつものように寛ぎながらお腹をマッサージしていた主人の顔が険しくなりました。

″また何か不快になるようなことでもあったのだろうか? なんか難しいことを考えているのだろうか。”

気になりながらも、見て見ぬ振りをしていた私に、突然衝撃的な言葉を発したのです。
”冗談を言っているんだ。 彼の思い過ごしなのでは?”
そんな私の思いを掻き消すかのように、
「ほら、触ってごらん、ここ。 これがたぶん癌だよ。」

よくカナヅチで頭を叩かれたようって言いますが、正にそんな衝撃が私の身体を貫きました。

なんで、なぜ今なの?
ちょうど仕事が気道に乗り始めたところだったので、彼の発病という現実を受け止めたくなかったのです。
これから一緒に盛り立てていこうとしていた矢先に、看板となる本人が発病するなんて許せませんでした。

どんなに病院での受診を懇願しても、岩のように硬い彼の決意を覆すことはできませんでした。
冷静でいようと思っても、知らず知らず 涙が目から溢れてきます。
そんな私をみて、癌は怖くないことを理論的に説明し始めました。
そして、末期がん患者の生還例を持ち出し、自分の計画を明確に話してくれました。

私の考えは、あくまでも癌は小さなうちに取ってしまう。 その後再発しないように捕捉的なアプローチをする。

彼の考えは、今発病したことには意味があり、それは自分が考える概念で癌の病巣を改善させること。
その新たな道を見出すことが今の自分がするべきこと。

何度話を聞いても、納得などできません。
でも、彼の決意を受け入れて協力していくのでなければ、私たちの生活は成立しません。
考え方が根本から違うなら、別な道を歩むしかない。
それは本意ではない。
”彼が死んでしまうと決まったわけではない。 彼ならどんなに険しい道でも切り開くことができるかもしれない。 今はそれを信じるしかない。”

何度となく自分に言い聞かせ、不安な思いを心の奥底へ押しやろうと必死でした。

「絶対に癌を治してね。 もしも、なんてことには絶対にならないように。 約束して!」

あん。 と生返事をする彼に、

「ちゃんと私の目を見て約束して!」

と強く迫ると、私をみつめながら 「わかった」
じっと私を見つめる彼の目からは、確実に生還するという確約は見いだせませんでした。

「自分からわざわざ死に向かうようなことはしないよ。」
どんなに言葉を並べられても、やはり彼の目からは”絶対に大丈夫。 必ず治る。” という確約が見いだせなかった。 それが私の不安を更にあおったのです。

でも、彼の言葉を信じるしかなかった。
きっと私の勘違いだろう。 彼の目は、何か違うことを物語っていたんだ。
そうやって自分の不安を否定して、癌を治すことにエネルギーを注がなければならない。

ここからが、私たち二人だけで立ち向かう死闘の始まりです。
by idun-2006 | 2012-02-16 12:00 | 闘病生活

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