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心と身体のよりどころ

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心に花園を  Vol.5

カラダのことをもっと書かねばと思いつつ、つい精神論的なお話が先行してしまってます。

「1000万人のカラダ革命」の中にも精神論のお話がたくさんでてきますが、このタイトルで主人の看病生活など、病人を持つ家族の側からみた視点を綴っていこうと思ってます。

ただ、夫婦のありかたって十人十色。
そのご夫婦でしか分かりえない様々な事情があるので、私たちの経験がそのまま活かせるわけではありません。
でも、これだけはいえます。

「できるだけ夫婦の会話をもってください!」

日常的に様々な話題を語り合っているからこそ、相手の意志をはかり知ることができます。
いざという事態が生じてしまったとき、その理解が互いの意志の疎通となり、言葉を交わさなくても志が一つとなって立ち向かうことができます。

勿論、なんでも話せばいいってもんじゃない。
相手を思いやる気持ちを持つのは当然。
自分の我欲を押し付けあうような会話は夫婦の会話ではありません。

知り合いの男性の奥様に第2子が宿りました。現在つわりの真っ最中で、気分が悪いと言ってなんでもご主人にお願いするのだとこぼしてました。
仕事が終わり電話をすると、ムカムカするのでさっぱりしたご飯を作ってとのリクエスト。
何がいいのかと聞くと、分からないと返事がかえってくる。
うどんは? そういう気分じゃない。
パスタは? お昼に食べたからイヤ。
刺身?   そんな手抜きのおかずはイヤ。
お肉?   こってりしたのは食べたくない。

「俺、最近つわりを口実にして何でもやらされている気がするんですよ。 それらしきことを家のに話したら、“誰のせいでこんな思いしてんのよ” って怒鳴られましたよ。」

このご主人、仕事を定時で終えて 保育所へ子供を迎えに言って、スーパーで明日の遠足にもたせるお弁当のおかずを買って、それから自分の将来の仕事のために夜間スクールの授業を受けに電車にのって出かけます。
まるで父子家庭みたいですよね。
今はご主人が一生懸命やってくれてますが、そのままではご主人のキャパが飽和状態になってしまってしまいます。
せっかく“第2子誕生” なんておめでたいことなのに、なんだかとっても淋しい気持ちになってしまいました。

私が内膜症による痛みが出て、鎮痛剤で痛みを抑えつつ仕事をしていたとき、主人は仕事帰りに
「今日の晩御飯はお惣菜にしよう。」 とか、「近所のお店で食べて帰ろう。」 とさりげなく言います。
「どうして? 作るよ。 なにが食べたい?」 と聞くと。
「無理しないでいいよ。 台所に立つの、きついだろ。」 と気遣ってくれたものです。
仕事も家事も、痛みがでていてもいつもと変わらずこなそうとしていたからこそ、ほんのちょっとした気遣いを示してくれたのでしょう。
薬で痛みは感じなくなっていたので、私たちの質素な晩御飯の支度くらいは無理な範疇ではなかったけれど、せっかくの主人の心遣いに反論するのもいかがなものかと。。。
そういうときは、ありがたく甘えさせてもらってました。

そんな彼が、癌が発症して食事が取れなくなった頃のこと。
朝昼晩、3食手製のジュースかスープしか飲めない主人を前にして物を食べることが一番辛かった。
ある日、主人のジュースを作る片手間に、つまみ食いするようにおかずを口にしていていたところを見つかって、お説教されました。
「食べれない僕のまえで食事をするのは酷だと思ってるだろ。それは違うんだよ。自分が食べれないから、代わりに目の前で美味しそうに食べてほしいんだよ。 それで満足できるんだから。 遠慮なく食べてほしいの。」
そう言われても、私にとっては針のむしろ。 彼の思いは全く理解できません。
強制的に主人の前で食べさせられたときがあったけれど、何が喉を通っているのか分からないくらいしんどかった。 味わうことなどできるわけがなく、ただ早く済ませてしまいたい気持ちでいっぱいでした。
それも主人にはお見通し。 後で指摘されたものです。
私一人分の夕食は、なるべく匂いがたたずに早く食べられるものに限定されました。
それでも、主人の病が進行してしまっていたある日のこと。
徐々に味覚が失われてきたと共に、特定の匂いに反応して気分が悪くなることがありました。
ある晩、台所で食事をする叱られるからと、あえてテレビをみていた主人の前で食事を始めたら、「その匂い、気分が悪くなる。」と隣の部屋へ逃げるように立ち去った主人。隣の部屋とはいえ、間仕切りを取り去ったオープンスペース。 申し訳なくて窓を開けてみたけれど、やはり換気扇の下へ移動しようかと迷っていたら、こっちの部屋にくれば大丈夫だから、気にせずそのまま食べろと言う。しかたなく窓にへばりつきつつ、飲み込むように食事を済ませたけれど、申し訳ないと思う気持ちと一緒に食べることができなくなった事実とが入り混じって、涙が出そうなくらい惨めで悲しかったことを覚えてます。

もし、主人の病が単なる風邪だったら、「少しの間、そっちで我慢しててよ!」 くらいなことを言ってしまってたかもしれない。
癌だって風邪だって、身体がきついことにはかわりがない。
どんな状況でも相手を気遣える心を持っていたいものですね。
by idun-2006 | 2009-05-18 23:35 | 心と身体のストレッチ

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